「宇宙船」に掲載された後、この世界観でゲームを作りたいという企画が持ち上がったようです。
これは、MILLENINUM STEAMのゲーム企画書として村田氏が書いていたものです。この後にも、村田氏が書き残した世界設定などのテキストを上げていく予定です。村田氏自身も最終的にまとめきっていなかったため、重複する内容がありますが、なるべく原文のままアップする予定です。なお、黄色いテキストが村田氏の作った部分です。
スチームミレニアム企画書
重機関兵
その日私はいつものように会社へと向かっていた。昨日までの毎日と変わりのない一日だったはずだ、しかし乗っていた地下鉄の事故によって突然日常は、終わった。
気づいた私の前にあったのは、移動する巨大な鉄の城が大砲を撃ち合う戦場だった。強力な蒸気機関が、すべての物を駆動する鋼鉄と蒸気機関の不思議な時代 私はそこで様々な驚異に出会う。
果たして、私は日常の世界に帰還することはできるのだろうか!?
まだ中世的な文化を色濃く残す世界ではあるが、錬金術によって生み出され科学によって完成された合金(貴金属から合成されARCHNUMと呼ばれる)を、内側にメッキされたボイラー内では水は100度に達しない低温で沸騰する。この技術によって、ここでは外燃機関が非常な高効率の動力として発達し、同時に我々の世界より100年ほど早い産業革命が機械工学の発達を促していた。
そこでは攻撃力よりも防御力の進歩した兵器群によって終わりのない戦争が続いていた。
この時代ヨーロッパでの有力な国は以下の4国、いち早く産業革命を成し遂げたイギリス、金属加工技術に長けたフランス、機械工学の進んだドイツ、量で圧倒するロシア
イギリスとフランスは、既に50年以上も覇権をかけて争ってきていた。今現在、イギリスはドーバーを越えフランス沿岸に橋頭堡都市を築いていた。ここは一大工業都市ではあったが、同時にフランス攻撃の補給基地であり各種兵器の生産工場でもあった。これは、まだ戦争の勝敗は戦場で決せられる物であって経済戦争の概念が無かったため、都市攻撃を行うという考えが無く、また中世的な文化の中で公然と非武装者を攻撃するのは、軍の恥でもあったため、攻撃目標となりにくくするために都市と言う形を取っているのである。
イギリスとフランスは、ほぼ全面戦争を行っていたが、それは一方の有力国家ドイツとロシアが戦争状態であったため、後方の心配が無かったためでもある、英仏戦争が巨大な城郭の砲撃戦であるのに対し、独露の戦争は巨大な鉄の城壁による国境線の削り合いであった。独露の国境線沿いにはロシアの巨大な機動城壁(GREAT WALL)が並び押し寄せてきていた。対するドイツは、量的に劣勢ではあったが技術力の高さでそれを補っていた、さらに現状を打破するために、巨人城と呼ばれる決戦兵器を開発中と言われていたが、それはまだ想像の域を出ていなかった。
○機関兵、重機関兵
一般に蒸気機関動力を個人装備として持つ兵士は機関兵(Locomoviler)と呼ばれており、スチームロコモビルドパワースーツ(Steam Locomoviled Power Suit 装甲機関服)を装備した者は重機関兵(Hevi Locomoviler)と呼ばれている。
「重機関兵前へ!」
軽機関兵による偵察、哨戒行動の後に、主戦場で決戦が始まると巨大な機動城塞が対峙したまま移動しつつ猛烈な砲撃戦を展開する。そこでは、ありとあらゆる種類の銃弾、砲弾が大量に飛び交い、生身の兵士は、一瞬たりとも生き延びることは出来無い。その中を敵機動城塞に向かって突撃を行うのが、重機関兵の役割だ。長い待機の後に下士官から号令が飛ぶ、「重機関兵前へ!」重砲弾の飛び交う戦闘の始まりだ。
○機動城塞
すべての物が機動力を持つこの世界では、城塞といえども例外ではなく、城内にある強大な蒸気機関によって時速20kmほどで移動する事ができ、敵機動城塞と砲撃戦を行う。
○機動城壁
基本的には機動城塞と同じような物ではあるが、これは、戦闘よりも防御を目的としている、外見上の特徴は機動城塞が鉄の城であるのに対しこれは鉄の壁である。特にロシアはこれの運用に長けていて現在ドイツとの国境線上に大量の機動城壁を並べて、文字通り鉄の壁を築いて徐々に前進し、国境線を押し広げようとしている。
○巨人城
未だ戦場には姿を現してはいないが、ドイツが開発しているという情報のある、新型の決戦兵器である、規模としては機動城塞と同じクラスのようだが既存の兵器とは全く違う物らしい。未だ謎に包まれている。
○スピンカロネード
回転体を打ち出すと遠距離まで直進するという事は、理論上わかっていたが、まだ砲口内にライフルを切るという発想がないため、砲身自体を強力な蒸気機関で回転させて砲弾に回転を与える大砲。
○重機関兵の装備
爆裂スパイク
ピストンスピアー
チェーンソード
ファイアーホイール
スチームマスケット
ガットリング式クロスボウ
フリクションハンマー
○ガットリング式クロスボウ
4つの銃体と機関部から成り、機関部のクランクを回すことによって重量10Kg程のボルト(矢)を連続して打ち出すクロスボウ。
クランクは、非常に重くロコモビルドスーツのパワーアームによって回されるのだが、後には背部のボイラーから供給されるスチームで駆動されるように改良される。
その外観と、発射音からコントラバスと呼ばれている。
by GORO